資格外活動許可の概要

入管法別表第一に掲げられている在留資格をもって在留する外国人が、その在留資格上の活動を行いつつ、その傍ら本来の活動を阻害しない範囲内で他の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行う場合は、資格外活動許可を受けなければなりません。

入管法別表第二に掲げられている在留資格をもって在留する外国人、すなわち就労制限のない在留資格「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」においては、資格外活動許可を受ける必要はありません。

資格外活動許可を得ずに、違法に収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行った場合は、資格外活動罪が成立します。また、不法就労活動をさせた者にも、不法就労助長罪が成立しますので注意が必要です。平成21年入管法改正で不法就労助長罪については、雇用した側が不法就労にあたることを知らなかった場合でも、過失がない場合を除き処罰の対象となりますので特に注意が必要です。

入管法の別表に定められている各在留資格、在留期間、基準などの概要は次の通りです。

別表第一
在留資格本邦において行うことができる活動該当例在留期間
外交1.日本国政府が接受する外国政府の外交使節団もしくは領事機関の構成員としての活動
2.条約もしくは国際慣行により外交使節と同様の特権及び免除を受ける者としての活動
3.これらの者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動
外国政府の大使、公使、総領事、代表団構成員等及びその家族外交活動の期間(当該活動を行っている間は、在留期間は満了しない)
公用1.日本国政府の承認した外国政府または国際機関の公務に従事する者としての活動
2.その者と同一の世帯に属する家族の構成員としての活動(ただし、「外交」の在留資格に対応する活動は除く)
外国政府の大使館・領事館の職員、国際機関等から公の用務で派遣される者等及びその家族5年、3年、1年、3ケ月、30日、15日のいずれか
教授本邦の大学もしくはこれに準ずる期間又は高等専門学校において研究、研究の指導又は教育をする活動大学教授等5年、3年、1年、3ケ月のいずれか
芸術収入を伴う音楽、芸術、文学その他の芸術上の活動(ただし、「興行」の在留資格に対応する活動は除く)作曲家、画家、著述家等5年、3年、1年、3ケ月のいずれか
宗教外国の宗教団体により本邦に派遣された宗教家の行う布教その他の宗教上の活動外国の宗教団体から派遣される宣教師等5年、3年、1年、3ケ月のいずれか
報道外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動外国の報道機関の記者、カメラマン5年、3年、1年、3ケ月のいずれか
高度専門職1号 高度の専門的な能力を有する人材として法務省令で定める基準に適合する者が行う次のイからハまでのいずれかに該当する活動であって、我が国の学術研究又は経済の発展に寄与することが見込まれるものイ)法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導もしくは教育をする活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営しもしくは当該機関以外の本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導もしくは教育をする活動ロ)法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて自然科学もしくは人文科学の分野に属する知識もしくは技術を要する業務に従事する活動又は当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動ハ)法務大臣が指定する本邦の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行いもしくは当該事業の管理に従事する活動または当該活動と併せて当該活動と関連する事業を自ら経営する活動2号 1号に掲げる活動を行った者であって、その在留が我が国の利益に資するものとして法務省令で定める基準に適合する者が行う次に掲げる活動イ)本邦の公私の機関との契約に基づいて研究、研究の指導又は教育をする活動ロ)本邦の公私の機関との契約に基づいて自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動ハ)本邦の公私の機関において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動二)イからハまでのいずれかの活動と併せて行う「教授」「芸術」「宗教」 「報道」「法律・会計業務」「医療」「教育」「技術・人文知識・国際業務」「興行」又は「技能」の在留資格に対応する活動(イからハまでのいずれかに該当する活動を除く)ポイント制による高度人材1号は5年、2号は無期限
経営・管理本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動(ただし、「法律・会計業務」の在留資格に対応する活動に掲げられている資格を有しなければ法律上行うことができないこととされている事業の経営又は管理に従事する活動は除く)企業等の経営者・管理者5年、3年、1年、4ヶ月、3ケ月のいずれか
法律・会計業務外国法事務弁護士、外国公認会計士その他法律上資格を有する者が行うこととされている法律又は会計に係る業務に従事する活動弁護士、公認会計士等5年、3年、1年、3ケ月のいずれか
医療医師、歯科医師その他法律上資格を有する者が行うこととされている医療に係る業務に従事する活動医師、歯科医師、看護師5年、3年、1年、3ケ月のいずれか
研究本邦の公私の機関との契約に基づいて研究を行う業務に従事する活動(ただし、「教授」の在留資格に対応する活動は除く)政府関係機関や私企業等の研究者5年、3年、1年、3ケ月のいずれか
教育本邦の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、専修学校又は各種学校もしくは設備及び編成に関してこれに準ずる教育機関において語学教育その他の教育をする活動中学校、高等学校等の語学教師5年、3年、1年、3ケ月のいずれか
技術・人文知識・国際業務本邦の公私の機関との契約に基づいて行う次の①又は②の業務に従事する活動(ただし、「教授」「芸術」「報道」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「企業内転筋」「興行」の在留資格に対応する活動は除く)①理学、工学その他の自然科学の分野又は法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術又は知識を要する業務
②外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務
機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者等5年、3年、1年、3ケ月のいずれか
企業内転勤本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が、本邦にある事業所の職員が、本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動外国の事業所からの転勤者5年、3年、1年、3ケ月のいずれか
(介護)平成29年9月1日施工本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動介護福祉士5年、3年、1年、3ケ月のいずれか
興行演劇、演芸、演奏、スポーツ等の興行に係る活動又はその他の芸能活動(ただし、「経営・管理」に対応する活動は除く)俳優、歌手、ダンサー、プロスポーツ選手等3年、1年、6ヶ月、3ケ月、15日のいずれか
技能本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機の操縦者、貴金属等の加工職人等5年、3年、1年、3ケ月のいずれか
技能実習1号イ)本邦の公私の機関の外国にある事業所の職員、又は本邦の公私の機関と法務省令で定める事業上の関係を有する外国の公私の機関の外国にある事業所の職員が、これらの本邦の公私の機関との雇用契約に基づいて当該機関の本邦にある事業所の業務に従事して行う技能、技術もしくは知識(以下、「技能等」という)の修得をする活動(これらの職員がこれらの本邦の公私の機関の本邦にある事業所に受け入れられて行う当該活動に必要な知識の修得をする活動を含む)ロ)法務省令で定める要件に適合する営利を目的としない団体により受け入れられて行う知識の修得及び当該団体の策定した計画に基づき、当該団体の責任及び監理の下に本邦の公私の機関との雇用契約に基づいて当該機関の業務に従事して行う技能等の修得をする活動2号イ)1号イに掲げる活動に従事して技能等を修得した者が、当該技能等に習熟するため、法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用契約に基づいて当該機関において当該機能等を要する業務に従事する活動ロ)1号ロに掲げる活動に従事して技能等を修得した者が、当該技能等に習熟するため、法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用契約に基づいて当該機関において当該技能等を要する業務に従事する活動(法務省令で定める要件に適合する営利を目的としない団体の責任及び監理の下に当該業務に従事するものに限る)技能実習生1年、6ヶ月又は1年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間
文化活動収入を伴わない学術上もしくは芸術上の活動又は我が国特有の文化もしくは技芸について専門的な研究を行いもしくは専門家の指導を受けてこれを修得する活動(ただし、「留学」及び「研修」の在留資格に対応する活動は除く)日本文化の研究者等3年、1年、6ヶ月、3ケ月のいずれか
短期滞在本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動観光客、会議参加者等90日、30日のいずれか又は15日以内の日を単位とする期間
留学本邦の大学、高等専門学校、高等学校(中等教育学校の後期課程を含む)もしくは特別支援学校の高等部、中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む)もしくは特別支援学校の中学部、小学校(義務教育学校の前期課程を含む)もしくは特別支援学校の小学部、専修学校もしくは各種学校、又は設備及び編成に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動大学、短期大学、高等専門学校、高等学校、中学校及び小学校等の学生・生徒4年3ケ月、4年、3年3ケ月、3年、2年3ケ月、2年、1年3ケ月、1年、6ヶ月、3ケ月のいずれか
研修本邦の公私の機関により受け入れられて行う技能等の修得をする活動(ただし、「技能実習(1号イ)」「技能実習(1号ロ)」及び「留学」の在留資格に対応する活動は除く)研修生1年、6ヶ月、3ケ月のいずれか
家族滞在この表の「教授」から「文化活動」までの在留資格をもって在留する者(技能実習は除く)又は「留学」の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動在留外国人が扶養する配偶者・子5年、4年3ケ月、4年、3年3ケ月、3年、2年3ケ月、2年、1年3ケ月、1年、6ヶ月、3ケ月のいずれか
特定活動法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動外交官等の家事使用人、ワーキングホリデー、経済連携協定に基づく外国人看護師、介護福祉士候補者等5年、3年、1年、6ヶ月、3ケ月のいずれか又は5年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間
別表第二
在留資格本邦において有する身分又は地位該当例在留期間
永住者法務大臣が永住を認める者法務大臣から永住の許可を受けた者(入管特例法の「特別永住者」を除く)無期限
日本人の配偶者等日本人の配偶者もしくは特別養子又は日本人の子として出生した者日本人の配偶者・子・特別養子5年、3年、1年、6か月のいずれか
永住者の配偶者等永住者等(「永住者」の在留資格をもって在留する者又は特別永住者)の配偶者又は永住者等の子として本邦で出生しその後引き続き本邦に在留している者永住者・特別永住者の配偶者及び本邦で出生し引き続き在留している子5年、3年、1年、6ヶ月のいずれか
定住者法務大臣が直別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者第三国定住難民、日系3世、中国残留邦人等5年、3年、1年、6ヶ月のいずれか又は定住者の告示で定める地位以外の地位を認められる者の場合は、5年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間

資格外活動許可の具体例

就労系ビザを持っている外国人が、資格外活動許可を受けた場合は、個別許可で許可された内容が、企業等の名称も含め資格外活動許可書に記載されます。単純労働は、原則資格外活動許可はされません。例外として「留学」「家族滞在」「特定活動(一部)」の在留資格者は、風俗関係営業を営む事業所でないこと等を条件に、単純労働であっても包括的に許可されます。

以下は資格外活動許可に該当する一例です。

  • 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をもって在留する外国人が、勤務先で従事している業務以外に、翻訳・通訳の仕事をする場合
  • 「留学」の在留資格をもって在留する外国人が、週28時間以内でファーストフード店でアルバイトする場合

以下は資格外活動許可を受けられない一例です。

  • 「技術・人文知識・国際業務」の在留資格をもって在留する外国人が、勤務先で従事している業務以外に、喫茶店でウェイトレスのアルバイトをする場合
  • 「留学」の在留資格をもって在留する外国人が、週28時間以内で性風俗店でマッサージの仕事をする場合

資格外活動許可の要件と審査の一般原則

次に掲げる要件のいずれにも適合すると認められる活動に従事する場合に許可する。

  1. 申請人が申請に係る活動に従事することにより現に有する在留資格に係る活動の遂行が妨げられるものでないこと
    (注)単に活動の時間数及び収入・報酬額の多寡によるものではない。ただし、「家族滞在」又は「特定活動」のうち扶養を受ける活動を指定されて在留する者で、扶養者の収入・報酬額を超えるような資格外活動を行おうとすることが明らかな場合は、扶養を受ける者とは言えなくなり、在留資格該当性に疑義が生じることから、原則として資格外活動の許可をしない。
  2. 現に有する在留資格に係る活動を維持していること
    (注)留学生で学校に行っていない者など本来の活動を行っていないことが明らかな場合は該当しない。
  3. 申請に係る活動が法別表第一の一の表又は二の表の在留資格の下欄に掲げる活動に該当すること
  4. 申請に係る活動が次のいずれの活動にも当たらないこと
    ①法令(刑事・民事を問わない)に違反すると認められる活動
    ②風俗営業若しくは店舗型性風俗特殊営業が営まれている営業所において行う活動又は無店舗型性風俗特殊営業、映像送信型性風俗特殊営業、店舗型電話異性紹介営業若しくは無店舗型電話異性紹介営業に従事して行う活動
    (注)次のア)イ)の形態で営まれている店舗での活動及びウ)〜カ)に該当する業務に従事して行う活動は認められない。なお、直接客の接待等を行わない従業員であっても同様である。
     ア)風俗営業・・・客の接待をして飲食させるキャバレー・スナックなど、店内の照明が10ルクス以下の喫茶店・バーなど、麻雀屋・パチンコ屋・スロットマシン設置業等
     イ)店舗型性風俗特殊営業・・・ソープランド、ファッションヘルス、ストリップ劇場、ラブホテル、アダルトショップ等
     ウ)無店舗型性風俗特殊営業・・・出張・派遣型ファッションヘルス、アダルトビデオ通信販売業等
     エ)映像送信型性風俗特殊営業・・・インターネット上でわいせつな映像を提供する営業等
     オ)店舗型電話異性紹介営業・・・いわゆるテレホンクラブの営業等
     カ)無店舗型電話異性紹介営業・・・いわゆるツーショットダイヤル、伝言ダイヤルの営業等
  5. 収容令書の発付を受けていないこと
    (注)単に活動の時間数及び収入・報酬額の多寡によるものではない。ただし、「家族滞在」又は「特定活動」のうち扶養を受ける活動を指定されて在留する者で、扶養者の収入・報酬額を超えるような資格外活動を行おうとすることが明らかな場合は、扶養を受ける者とは言えなくなり、在留資格該当性に疑義が生じることから、原則として資格外活動の許可をしない。

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