医療滞在【特定活動ビザ】
特定活動ビザ(医療滞在)は、「告示された特定活動」のひとつです。具体的な告示内容は「本邦に相当期間滞在して、病院又は診療所に入院し疾病又は傷害について医療を受ける活動及び当該入院の前後に当該疾病又は傷害について継続して医療を受ける活動」となっています。
もう少しわかりやすく解説すると、特定活動ビザ(医療滞在)の要件は大きく2つに分けられます。
1)「本邦に相当期間滞在」すること
具体的には、日本国内に90日以上滞在することが必要です。
2)「病院又は診療所に入院し疾病又は傷害について医療を受ける活動」「当該入院の前後に当該疾病又は傷害について継続して医療を受ける活動」であること
病気や怪我の治療を受けるために病院、もしくは診療所に入院することが必要です。このため入院を伴わない、通院のみの治療の場合は特定活動ビザ(医療滞在)の対象となりません。
ちなみに特定活動ビザ(医療滞在)で滞在する外国人の「日常生活上の世話」をする外国人は、付添人として特定活動ビザの対象となります。ただし付添人のビザを受けた外国人が、収入を伴う事業を運営したり、報酬を受ける活動を行うことは認められません。
特定活動ビザ(医療滞在)の申請方法
特定活動ビザ(医療滞在)の申請には、以下に挙げる3パターンがあります。
・特定活動ビザ(医療滞在)を新規申請する
・他の在留資格から特定活動ビザ(医療滞在)に変更する
・特定活動ビザ(医療滞在)の在留期間を更新する
申請に必要な書類は、各パターンで微妙に異なります。また医療滞在ビザと付添人ビザも、用意する書類がそれぞれ違うため注意が必要です。具体的な必要書類は以下の通りです。
【特定活動ビザ(医療滞在)を新規申請する場合】
医療滞在ビザ・付添人ビザに共通の書類
1)在留資格認定証明書交付申請書
2)写真(縦4㎝×横3㎝)1枚
※申請前3ヶ月以内に正面から撮影された無帽・無背景で鮮明なもの
3)返信用封筒(簡易書留用)
※返信先住所を明記し392円分の切手を貼り付けたもの
医療滞在ビザに必要な書類
1)日本の病院が発行した受入れ証明書
2)入院先の病院等に関する資料(パンフレットなど)
3)治療予定表
4)入院前あるいは退院後の滞在先と連絡先を記載した資料
5)滞在中に必要な費用支払いに関する次のいずれかの資料
・病院等への前払金、預託金等の支払済み証明書
・民間医療保険の加入証書と約款の写し
※加入する医療保険による支払いが立証できるもの
・預金残高証明書
・スポンサーや支援団体等による支払証明
付添人ビザに必要な書類
(1) 滞在日程・滞在場所・連絡先・付添い対象者との関係などを説明する資料
(2) 滞在に必要な一切の経費が支払えることを証明する資料
【他の在留資格から特定活動ビザ(医療滞在)に変更する場合】
医療滞在ビザ・付添人ビザに共通の書類
1)在留資格変更許可申請書
2)写真(縦4㎝×横3㎝)1枚
※申請前3ヶ月以内に正面から撮影された無帽・無背景で鮮明なもの
3)返信用はがき
※返信先住所を明記したもの
医療滞在ビザに必要な書類
1)日本の病院が発行した受入れ証明書
2)入院先の病院等に関する資料(パンフレットなど)
3)治療予定表
4)入院前あるいは退院後の滞在先と連絡先を記載した資料
5)滞在中に必要な費用支払いに関する次のいずれかの資料
・病院等への前払金、預託金等の支払済み証明書
・民間医療保険の加入証書と約款の写し
※加入する医療保険による支払いが立証できるもの
・預金残高証明書
・スポンサーや支援団体等による支払証明
付添人ビザに必要な書類
(1) 滞在日程・滞在場所・連絡先・付添い対象者との関係などを説明する資料
(2) 滞在に必要な一切の経費が支払えることを証明する資料
【特定活動ビザ(医療滞在)の在留期間を更新する場合】
医療滞在ビザ・付添人ビザに共通の書類
1)在留期間更新許可申請書
2)写真(縦4㎝×横3㎝)1枚
※申請前3ヶ月以内に正面から撮影された無帽・無背景で鮮明なもの
3)返信用はがき
※返信先住所を明記したもの
医療滞在ビザに必要な書類
1)診断書
2)日本の病院が発行した受入れ証明書
3)入院先の病院等に関する資料(パンフレットなど)
4)治療予定表
5)入院前あるいは退院後の滞在先と連絡先を記載した資料
6)滞在中に必要な費用支払いに関する次のいずれかの資料
・病院等への前払金、預託金等の支払済み証明書
・民間医療保険の加入証書と約款の写し
※加入する医療保険による支払いが立証できるもの
・預金残高証明書
・スポンサーや支援団体等による支払証明
付添人ビザに必要な書類
(1) 滞在日程・滞在場所・連絡先・付添い対象者との関係などを説明する資料
(2) 滞在に必要な一切の経費が支払えることを証明する資料
特定活動ビザ(医療滞在)の注意点
医療費の補助が受けられる「国民健康保険」は、原則として「市町村又は特別区の区域内に住所を有する者」を対象とした制度です。ただし特定活動(医療滞在)で滞在する外国人とその付添人は、国民健康保険に加入することができません。
特定活動ビザ(医療滞在)で滞在する外国人が国民健康保険に加入できない根拠は「国民健康保険法」と「国民健康保険法施行規則」に記載されています。
まず国民健康保険法には「市町村が行う国民健康保険の被保険者としない」者が列挙されており、その中に「厚生労働省令で定めるもの」という規定があります(第6条第11号)。
そして「厚生労働省令で定めるもの」を具体的に定めたのが、国民健康保険法施行規則の第1条の第1号〜5号です。それぞれの内容を簡単に要約すると次のようになります。
・在留期間が3ヶ月以下の外国人、在留資格が「短期滞在」の外国人(第1号)
・在留資格が「医療滞在」または「付添人」の外国人(第2号)
・在留資格が「観光、保養等」で1年以下の長期滞在をする18歳以上の外国人(第3号)
・在留資格が「観光、保養等」で1年以下の長期滞在をする外国人に同行する外国人配偶者(第4号)
・その他条例で定めるもの※在留資格が「外交」の外国人、不法滞在などで在留資格がない外国人など(第5号)
上記「第2号」の規定により、日本で医療を受けることを前提に特定活動ビザを取得した外国人は、国民健康保険制度の被保険者になることができません。このため病院・診療所への入院費や治療費は基本的に「全額自費負担」となるので、十分な注意が必要です。