帰化とは?

帰化とは、日本国籍を取得することです。帰化申請とは外国人が日本人になる申請手続きになります。在日韓国・朝鮮人の方々や留学で日本に来て日本人と結婚した外国人の方、日本で就労している外国人の方の多くが毎年、日本国籍を取得したいと考え帰化申請をしています。年間で1万人前後の方が許可になっています。帰化をするためには、法に定められた様々な帰化の条件を満たす必要があります。
帰化申請は「国籍法」によって規定され、「普通帰化」「簡易帰化」「大帰化」の3種類が規定されています。それぞれに異なった帰化の条件が決められています。その申請には国籍法の他に戸籍法、入管法、会社法、民法、税法、年金法、刑法など幅広い法律が関わってきます。
また帰化申請時に提出する書類は申請人の状況に応じて集める書類が異なります。多い方で100枚以上となり、さまざまな書類を集めなければなりません。それらの書類の収集・作成が完了して帰化申請の書類一式が法務局で受理されたとしても許可が確定するわけではありません。書類一式を法務局に提出してから許可、不許可の結果がでるまで約1年ほどかかります。帰化申請が許可されるか否かは法務大臣の裁量に任されています。
当事務所では大阪で帰化に向けた必要条件や必要書類等を確認して帰化許可に向けてのサポートを行います。

帰化の種類

普通帰化
外国籍の方が、日本への留学や就労、日本人との結婚で来日して一定期間以上日本に居住し、今後も日本でずっと生活するにあたり、日本国籍を取得する場合です。

簡易帰化
日本と特別な関係を有する外国人(日本で生まれた者、日本人の配偶者、日本人の子、かつて日本人であった者等)については、帰化の条件を一部緩和されています(国籍法第6条から第8条まで)。帰化の条件は緩和していますが、集める書類の量は変わらず、むしろ特別永住者の方などは、一般の外国籍の方より集める書類は多くなります。

大帰化
国籍法9条にある「日本に特別の功労のある外国人については、国会の承認を得て、帰化を許可することができる」というものです。日本に特別の功労のある外国人は普通帰化の条件を満たさなくても日本国籍を取得できます。ただし、これまで大帰化がされたケースは一度もありません。

普通帰化7つの条件

その1 住居条件・・・引き続き5年以上日本に住んでいること

※引き続き
継続して日本に住んでいることとなり、5年以上ですので、中断があれば「引き続き5年以上日本に住所を有する」とはなりません。
中断事由
・1年間のうち、1回の出国で3カ月以上日本を離れた場合、引き続きの条件がリセットされる可能性が高くなります。
長期の海外出張や本国の家族の看病等で、1回の出国で3カ月以上日本を離れている場合、帰化条件である住居条件の引き続きが満たされていないと判断される可能性が高くなります。
・1回の出国で3カ月以上でなくても、1年間のうち合計100日以上出国すると引き続きの要件を満たさない可能性が高くなります。例えば、1カ月、1カ月、1カ月、1カ月と1年のうち4回で合計100日以上出国した場合はアウトになります。

※5年のうち3年以上就労していること
住居条件でもう一つ重要なのが就労期間です。5年のうち3年以上就労していることが必要です。アルバイトではなく、正社員(派遣社員等も含む)として就労の在留資格をもって働くことが条件です。転職は問題ありません。
例えば、留学で5年以上、日本に住んでいても住居要件は満たされません。
この就労期間においては一つ例外があります。10年以上引き続き日本に住んでいる方は、3年以上の就労がなくても1年以上の就労期間があれば大丈夫です。
例えば、留学や家族滞在で9年、就労の在留資格で1年以上就労していれば、条件を満たします。

その2 能力条件・・・18歳以上で本国法によって能力を有すること
令和4年(2022年)4月1日から「20歳以上」が「18歳以上」に変更されました。
帰化申請をするためには、18歳以上であることが条件です。
但し、未成年者の方がご両親と一緒に帰化する場合は、18歳に達していなくても帰化申請をすることが可能です。

その3 素行条件・・・素行が善良であること
素行が善良であるかどうかは、犯罪歴の有無や生活状況、納税や年金状況や社会への迷惑の有無等を総合的に考慮して、社会通念によって判断されます。

納税状況
各種税金をきちんと納税していることが必要です。納税の有無については、帰化申請する本人だけでなく、同居の家族全員分が必要なので注意が必要です。会社員の方で社保に入っており、給料から天引きされている方は問題ありません。会社員の方でご自身で住民税の支払い義務がある方は未納がないかチェックが必要です。また最近多いのは、株や仮想通貨等で副収入を得ている方は利益の額によっては、ご自身で確定申告を行い、納税義務が発生する場合があるので、株などをお持ちの方はこの点も注意が必要です。
経営者の方は、個人の税金だけでなく、会社の税金もしっかり納税を行っていることが必要です。
税金関係に未納がある方は、しっかりと納税を行った後、帰化申請を行いましょう。

年金の支払い
税金だけでなく、年金の支払いも帰化申請においては確認をされます。年金の支払いについては、直近1年分が必要です。会社員の方で厚生年金に加入しており、給料から天引きされている方は問題ありません。国民年金の方で、ご自身での支払い義務がある場合は直近1年間で支払っていない月がないか確認を行い、もし年金を支払っていなければ、帰化申請前の直近1年分を支払ってから帰化申請を行います。

交通違反
帰化申請前の過去5年間がチェックされます。目安としては過去5年以内に5回以上交通違反があると素行条件に引っかります。
この交通違反は軽微なものを想定しています。例えば、駐車違反や一方通行の違反などです。50キロ超のスピード違反や飲酒運転については、相当期間が過ぎないと不許可になるリスクが非常に高くなります。

その4 生計条件・・・自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること
日本で生活をする上で生計を維持することができることが条件です。この生計条件は生計をともにする同居のご家族を含めて判断されます。つまり、帰化申請人に十分な収入がなくても、帰化申請人と同居しているご家族(配偶者や成人した子ども)に十分な収入があり、世帯として生計を維持することができれば問題ありません。貯金額はいくら必要ですかという質問もいただきますが、貯金額はあまり問題ありません。それよりも毎月安定した収入があることが最も重要です。また借入(住宅ローンや自動車ローン)がある方は、当該借入を返せるだけの安定した収入があるかが必要です。その他の借り入れもしっかりと返済計画があれば問題ありません。
収入の目安としては、手取りで月18万以上あれば問題ありません。扶養者がいる場合、18万円プラスαで考えていきます。世帯の収入でご家族がしっかりと生活できるかが重要です。

その5 重国籍防止条件・・・国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によってその国籍を失うべきこと
帰化しようとする方は、無国籍であるか、原則として帰化によってそれまでの国籍を喪失することが必要です。なお、例外として、本人の意思によってその国の国籍を喪失することができない場合は、この条件を備えていなくても帰化が許可になる場合があります。
日本は二重国籍が認められておりませんので、日本国籍取得後に本国の国籍が離脱されなければなりません。

その6 思想条件・・・日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと
日本の政府を暴力で破壊することを企てたり、主張するような者、あるいはそのような団体を結成したり、加入しているような者は帰化が許可されません。つまり、テロリストや犯罪を企んでいる方には、日本国籍は取得できません。

その7 日本語能力
帰化が許可されるためには、一定以上の日本語能力が必要です。すべての方に日本語能力テストがあるわけではないですが、帰化の面談などで担当官に日本語能力に不安を持たれた場合はテストが課されることがあります。日本語能力の目安としては、日本人の小学校3年生程度の日本語能力が必要です。

簡易帰化の条件

簡易帰化の条件とは?

一般に帰化をするにあたっては、7つの帰化条件を満たしていることが必要です。特別永住者の方や日本人と結婚している外国人など、下記の事項に当てはまる方は、通常の帰化の条件が緩和され、簡易帰化として全ての条件を満たしていなくても帰化が可能となります。

簡易帰化に当てはまる方
下記の①②③に当てはまる方は、住所条件(帰化申請をする時までに、引き続き5年以上日本に住んでいること)が免除されます。

① 日本国民であった者の子(養子を除く)で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有する者
両親が元々は日本国籍であったが、両親が外国籍を取得した後に外国籍の子と出生した方などが該当します。本来であれば、引き続き5年以上、日本に住んでいることが必要ですが、3年以上日本に住所又は居所を有すれば「住所条件」が免除されます。

② 日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有し又はその父若しくは母(養母を除く)が日本で生まれた者
特別永住者の方(日本で生まれた韓国籍や朝鮮籍)が該当します。

③ 引き続き10年以上日本に居所を有する者
特別永住者の多くの方や10年以上日本に住んでいる方が該当します。

下記の④⑤に当てはまる方は、住所条件(帰化申請をする時までに、引き続き5年以上日本に住んでいること)と能力条件(18歳以上であること)免除されます。

④ 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、かつ現に日本に住所を有する者
日本人と結婚されている外国人の方が該当します。引き続き3年以上日本に住んでいる外国人の方は、日本人と結婚した時点でこの条件に該当します。

⑤ 日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過し、かつ引き続き1年以上日本に住所を有する者
日本人と結婚されている外国人の方が該当します。例えば、海外で婚姻生活を送り、その後に日本に住むことになった場合、1年以上日本に住むことで該当します。

下記の⑥⑦⑧⑨に当てはまる方は、住所条件、能力条件に加え、生計条件(経済的観点から安定継続して日本に住むことが出来ること)が免除されます。

⑥ 日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有する者
先に両親が日本国籍を取得し、後に子どもが帰化する場合などが該当します。家族一緒に帰化する場合などに、両親が帰化許可とともに日本国籍を取得する為、一緒に帰化申請をしていた子供は日本人の子となり、未成年でも日本国籍を取得できます。
または、日本人の子と出生し、日本国籍を選択せずに、後に帰化申請をする場合などが該当します。

⑦ 日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し、かつ縁組の時、本国法により未成年であった者
親の再婚により、外国人母(父)の連れ子として、来日し、日本人の父(母)と未成年の時に養子縁組をした場合などが該当します。
縁組時に未成年であることが条件です。そして、未成年であるか否かは本国法によって判断されます。日本では20歳で成人となりますが、国によっては18歳で成人となる国もありますので注意が必要です。各大使館に問い合わせをおすすめします。

⑧ 日本国籍を失った者(日本に帰化した後、日本国籍を失った者を除く)で日本に住所を有する者
海外で帰化し、日本国籍を失ったが、再度日本国籍を取得する場合が該当します。アメリカ国籍を取得して日本国籍を離脱し、老後は日本で生活をしたい方などです。

⑨ 日本で生まれ、かつ出生の時から国籍を有しない者で、その時から引き続き3年以上日本に住所を有する者
出生地主義を採用している国の国籍を持つ両親のもとに出生して無国籍となた方などが該当します。日本は血統主義を採用しているので日本で出生したからといって日本国籍は取得しません。そのような方に対応する為、当該条件が設けられました。

帰化申請 必要書類

■この記事の監修行政書士■
藤井行政書士事務所 代表者:藤井 修
日本行政書士会連合会・大阪府行政書士会所属
行政書士登録後、大阪市内の入管業務専門の行政書士事務所を経て、令和元年5月1日に藤井行政書士事務所を開設。外国人の在留資格や帰化の取得を専門とする行政書士。
「書類の向こうの笑顔のため」をモットーに外国人と関係者の支援に全力で取り組んでいます。


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