再審情願とは
再審情願とは、すでに退去強制手続きが終了して退去強制令書が発行され退去強制が確定している者が、その後の家庭環境の変化などを理由に、再び審査を請求するものです。
例えば、入国管理へ収容された時点では婚姻が成立しておらず、退去強制令書が発行されてしまった後で婚姻などが成立した場合によく見られます。この場合はすでに退去強制手続きに伴うすべての審査が終了しており、その結果としての退去強制も確定しています。それを覆して状況が変わった後の条件でもう一度審査を行い、在留特別許可を請求するものです。
ただし、在留特別許可と同様に再審情願という申請が法律上認められているわけではありません。そのため、いつまでに結果を出さなければならないという義務は生じないため、結果が出るまでには相当期間が必要となるケースも少なくありません。収容令書による収容は最長でも60日間ですが、再審情願を行なう場合は退去強制令書が出された後なので、収容される期間の日数には制限はありません。そのため、収容される期間が1~2年といった長期になることも考えられます。第五十二条 (退去強制令書の執行) 退去強制令書は、入国警備官が執行するものとする。
5 入国警備官は、第3項本文の場合において、退去強制を受ける者を直ちに本邦外に送還することができないときは、送還可能のときまで、その者を入国者収容所、収容場その他法務大臣又はその委任を受けた、主任審査官が指定する場所に収容することができる。「出入国管理及び難民認定法」より一部抜粋
さらに、再審情願を行なう場合は、特別な事情がない限り仮放免などが許可される事は稀であり、ほとんどは収容された状態で結果を待つことになります。もちろん、数ヶ月で結果がでて在留を許可されるケースもありますが、最悪のケースでは2年近く収容された上、結果が不許可となることも考えられます。
また、日本には収容所が、東日本入国管理センター(茨城県)、西日本入国管理センター(大阪府)、大村入国管理センター(長崎県)の3ヶ所がありますが、各センターの収容状況などでどこの収容所に入るかはわかりません。東京に在住していた外国人が長崎の大村入国管理センターに収容されるケースもあります。こうなると家族や婚約者がいても頻繁に面会に行くこともできず、外国人本人もいつ結果がでるかわからない申請に望みをかけて延々と待ち続けることになります。当然、このような状況が続けば収容されている外国人はもちろん、そのご家族にも多大な負担となります。そのため、再審情願は確実に許可取得が見込めるような場合でなければ、通常は諦めたほうがよいでしょう。 再審情願をせず退去強制で帰国した場合には通常は5年間の入国拒否となりますが、外国人本人は本国で自由に生活ができ婚約者やご家族も本国まで行けばいつでも本人に会うことができます。そして、時期をみて在留資格認定証明書交付の申請や上陸特別許可を申請などして正規の在留資格を取得した方が家族や婚約者にかける負担は軽減されると思われます。