告示外定住とは、定住者告示をもって定める地位を有する者としての活動にはあたらないが、「定住者」の在留資格が認められるものをいいます。
以下に、実務上の代表類型をご紹介します。
1「離婚定住」
◆日本人、永住者又は特別永住者である配偶者と離婚後引き続き日本に在留を希望する者(後記の「日本人実子扶養定住」に該当する者を除く。)
許可要件
次のいずれにも該当する者であること。
- 日本において、おおむね3年以上正常な婚姻関係・家庭生活が継続していたと認められる者
- 生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- 日常生活に不自由しない程度の日本語の能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものでないこと
- 公的義務を履行していること又は履行が見込まれること
審査のポイント
- 上記許可要件1.の「正常な婚姻関係・家庭生活」とは、通常の夫婦としての家庭生活を営んでいたことをいいます。したがって、別居していた期間があっても、夫婦としての相互援助、交流が継続して認められれば、これに該当するといえます。
- 上記許可要件3.の「日常生活に不自由しない程度の日本語の能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものでない」とは、例えば、申請書の記載や面接において、申請人との意思の疎通が可能であればよく、特定の日本語の試験に合格していることまでは問わないものとされています。
※離婚する配偶者が「定住者」の場合、許可される可能性がないわけではありませんが、「日本人」や「永住者」、「特別永住者」に比べ許可のハードルは高くなります。
2「死別定住」
◆日本人、永住者又は特別永住者である配偶者が死亡した後引き続き日本に在留を希望する者(後記「日本人実子扶養定住」を除く。)
許可要件
次のいずれにも該当する者であること。
- 配偶者の死亡までの直前のおおむね3年以上、日本において正常な婚姻関係・家庭生活が継続していたと認められる者
- 生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- 日常生活に不自由しない程度の日本語の能力を有しており、通常の社会生活を営むことが困難となるものではないこと
- 公的義務を履行していること又は履行が見込まれること
審査のポイント
上記「離婚定住」の審査上のポイントと同様。
3「日本人実子扶養定住」
◆日本人の実子を監護・養育する者
許可要件
次のいずれにも該当すること。
- 生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- 日本人との間に出生した子を監護・養育している者であって、次のいずれかに該当すること
a)日本人の実子の親権者であること
b)現に相当期間当該実子を監護・養育していることが認められること
審査のポイント
- 外国人親に稼働を困難とする事情があり、当該事情を考慮して生活保護等が支給されている場合であっても、将来的には稼働の意思を有し、かつ日本人の実子を監護養育している事実が確認できれば、生計を営むに足りる資産又は技能を有しないものとは取り扱われません。ただし、近い将来、生活保護等の状況を脱して、自活能力を備えるに至る予定や計画を申請理由書に記載することが重要です。
- 「日本人の実子」とは、嫡出、非嫡出を問わず、子の出生時点においてその父又は母が日本国籍を有している者をいいます。実子の日本国籍の有無は問われません。日本国籍を有しない非嫡出子については、日本人父から認知されていることが必要です。
- 「監護・養育」とは、親権者等が未成年者を監督し、保護することをいいます。いったん「定住者」への在留資格変更が許可されても、その後、実際に監護・養育している状況でなくなれば、在留期間の更新申請は不許可となる可能性が高くなります。(実子が就労開始又は婚姻により独立した場合を除く。)
4「婚姻破綻定住」
◆日本人、永住者又は特別永住者との婚姻が事実上破綻し、引き続き在留を希望する者
許可要件
次の1.又は2.に該当し、かつ、3.及び4.に該当する者であること。
- 日本において3年以上正常な婚姻関係・家庭生活が継続していたと認められる者
- 正常な婚姻関係・家庭生活が継続後にDVによる被害を受けたと認められる者
- 生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
- 公的義務を履行していること又は履行が見込まれること
審査のポイント
- 「婚姻が事実上破綻し」とは、婚姻は継続中であるものの、夫婦双方に婚姻継続の意思がなくなったもの、同居・相互の協力扶助の活動が事実上行われなくなり、その状態が固定化していると認められ、婚姻関係を修復・維持しうる可能性がなくなった場合等をいいます。
- 婚姻がいまだ破綻しているとまでは認められない場合は、現に有する「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」の在留資格での期間更新の可否が検討されます。
5「特別養子離縁定住」
◆特別養子の離縁により「日本人の配偶者等」の在留資格該当性がなくなった者(申請人が未成年等のため実親による扶養又は監護が必要となる場合で、扶養又は監護する実親が海外に在住するときを除く。)で、生計を営むに足りる資産又は技能を有するもの
許可要件
次の1.及び2.に該当する者であること。
- 日本において、養親に扶養されていたと認められる者
- 生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
審査のポイント
- 未成年のため実親による扶養又は監護が必要となる場合で、扶養又は監護する実親が海外に在住するものはこれにあたりません。
- 未成年等のため実親又は新たな養親に扶養される場合は、当該実親又は新たな養親に扶養能力が認められることが必要になります。
6「難民不認定処分後特定活動定住」
◆難民の認定をしない処分「難民不認定処分」後、特別な事情を考慮して在留資格「特定活動」により、1年の在留期間の決定を受けた者で、在留資格「定住者」への在留資格変更許可申請を行ったもの
許可要件
次のいずれかに該当すること。
- 入国後10年を経過していること
- 在留特別許可又は在留資格変更許可により在留資格「特定活動」の決定を受けた後、3年を経過していること
審査のポイント
- 上記の要件に該当する者と生計を一にし、同居する配偶者、子及び親については、要件該当者の処分に合わせる取り扱いとされます。
- 申請人の在留中における生活維持能力については、難民不認定処分後の人道配慮による在留特別許可によって在留資格「特定活動」の決定を受けたという特殊事情に鑑み、これを問わないものとされます。
- 上記の要件に適合しない場合であっても、人道上配慮を要すべき特別の事情があると認められるときは、本省に請訓されて判断されます。
定住者のよくある事例
定住者ビザのよくある事例としては3つ考えられます。
1つ目
日本人と国際結婚した外国人配偶者の「連れ子」を本国から呼び寄せる場合
日本人と国際結婚した外国人配偶者の「連れ子」を本国から呼び寄せる場合です。外国人配偶者が日本人と結婚する前の、前の配偶者との間にできた子供が母国にいて、その子を日本に呼び寄せる場合です。この場合に条件となるのは、子供が未成年で、未婚であることが条件です。ですので20歳以上になっている場合は定住者ビザでは日本に呼べません。また、基本的に子供の年齢が高くなるほど呼び寄せは難しくなります。一般的に、高校卒業の年齢、18歳になった子どもは、まだ未成年ですが自分で生活できる能力がある判断されやすく不許可になりやすい側面があります。
2つ目
「日本人の配偶者等」の外国人が日本人と離婚か、死別した場合にそのまま日本にいたいので「定住者ビザ」に変更する場合
「日本人の配偶者」を持っている外国人が日本人と離婚か、死別した場合に、そのまま日本にいたいので「定住者」に変更する場合ですね。この場合ポイントになるのは、日本国籍の子供がいるかいないかです。日本国籍の子供がいない場合は、同居した結婚期間が最低3年以上必要です。日本国籍の子供がいる場合は、結婚期間が1年程度でも可能性はあります。日本で日本国籍の子供と同居し養育することです。もし、子供を本国の親に預ける場合は、子供の養育を理由とした定住者へ変更はできません。
3つ目
日系人(日系ブラジル人など)が、就労制限がない定住者ビザを取得する場合
日系人が、就労制限がない定住者ビザを取得する場合です。日系人は南米出身者などが多いですね。日系ブラジル人や日系ペルー人とかですね。群馬県とかにはブラジル人街とかもあるくらいです。日系人は定住者ビザは日系3世、場合によっては4世まで定住者ビザの取得が可能です。定住者ビザは就労制限がないので、どんな職種でも働くことができます。ビザ取得に学歴なども関係ありません。戸籍謄本や除籍謄本をたどり先祖が日本人だったことを証明していくことで取得できます。